Suggestions for antique Rolex
古い文化やアイテムに心惹かれる方々がいます。ワインやクルマやレコードなどコレクターが多くいるジャンルにはかならず「アンティーク/ヴィンテージ」コレクターが存在し、それに合わせ市場が用意されます。もちろんロレックスにも現在では製造されない古いモデルの雰囲気が好きな方が世界中にいますよね。「ヴィンテージロレックス」(VR)と呼ばれ、主に4桁の品番のスポーツモデルに人気が集中しています。なかでもデイトナなどは1000万円、2000万円を超え扱われるモデルがあり、もはや腕時計の域を超え美術品になっていますね。投資対象にもなり、人気があり状態がよく付属品が揃っているものは、使われず相場が高くなるのを待ち眠っているのです。
4桁品番のロレックスも1980年代の後半まで製造されていましたので、新しいものは30年くらい前の製造といまだ現役で使用可能です。もともとオイスターケースは堅牢なためダイバーウォッチはじめ50年経っても問題なく動いているものばかりですね。そうなると「オレは使えるヴィンテージロレックスが欲しい」という方もいらっしゃるでしょうし、美術的価値を尊重する方もいらっしゃるでしょう。今回は「ビンテージロレックス(VR)とセミ・ビンテージ ~アンティークのすすめ~」と題し、ヴィンテージロレックスはどこで買ったら良いだろう?セミヴィンテージって何だろう?について考えていこうと思います。
ヴィンテージロレックスはどこで買ったら良いだろう?
もちろん現在は製造していないモデルのため、ロレックスの代理店やデパートで購入することはできません。アンティーク時計の専門店や質屋さん、リサイクルショップなどで購入することになります。また個人が出品するネットオークションやフリマアプリなどでも販売されていますが、状態や真贋の判断が難しいので「おすすめ」はできません。
①アンティーク時計専門店
アンティークウォッチを扱うお店はたくさんありますが、どこで買うのが良いか?幾らで売っているのが適正なのか?判断が難しいですよね。また、どうしても消耗品パーツが腕時計には存在しますので「完全なオリジナル」となると非常に少なくなってしまいます。ワンオーナーが1度も手放さずにいたロレックスであれば100%のオリジナルになるかもしれませんが、複数人の手に渡った歴史あるアンティークロレックスの場合、どこでどうなったかは神様にしかわかりません。有名なアンティークウォッチ専門店で購入することをオススメしますし、また自分でも勉強してから納得して購入することが大事です。
「買う」以外にも注意する必要があるのは「修理 / オーバーホール」ですね。私の愛読書「オンリー・アンティークス」の著者であり東京・森下のアンティークウォッチショップ「ケアーズ」のオーナー川瀬 友和さんは、同じモデルからパーツを移植するドナー制修理を行っております。またおもしろ時計修理ブログでおなじみのZENMAI WORKSさんはゼロからパーツを作って、どんな時計でも修理してしまう凄腕です。どちらが良いかはアンティークウォッチを、どう扱っていくかにもよりますので人それぞれの判断になるかと思いますが、日本ロレックスでは修理受付期間が設けられており大抵の古いロレックスは修理を受けてもらえない場合が多くあります。そんな時、自力でスイスのロレックス本社へ修理依頼をしてみたり、有名なアンティークウォッチ修理専門店で直すことになるのですが、「モデル」「修理箇所」「壊れ具合」で決めてみるのも良いでしょう。
②質屋、リサイクルショップ
まず、販売していることは無いと思います。特に高額になりがちなロレックスのスポーツモデルは皆無でしょう。ドレスモデルの4桁などはあるかもしれません。どうして、4桁スポーツは販売されないか?と言いますと、古物商専門のオークション/市場が存在し「値」の付きそうな腕時計は回転が速く捌けるためチマチマ店頭で売ったりしないのです。「販売」とは客寄せの目的であるため、「真贋力」「資金力」がある質屋さんやリサイクルショップにはアンティークロレックスが置いてあるかも知れませんが、大抵の個人商店的なお店では扱うリスクしか無いので販売されないことが多いのです。このあたりのお店での狙い目は次にご紹介する「セミ・ビンテージ」ロレックスでしょう。
③ヴィンテージの特徴
アンティークウォッチの定義は幅広いですが、腕時計の歴史はおよそ100年、その半分の50年経過したものは「アンティーク」の部類に入ると思います。現在では1960年代含めそれより古ければアンティークと言って良いでしょう。ロレックスのスポーツモデルに限っては4桁品番であれば1980年代後半に作られていたとしても「VR」に片足突っ込んでいると見て良いですかね。「日本ロレックス」が修理を受け付けないもの(4桁でも修理可能モデルはあります)、プラスチック製の風防であること、21600振動以下のロービートムーブメントであることなどが、すぐわかるポイントです。
セミヴィンテージって何だろう?
セミヴィンテージロレックスって何でしょうか?
それは、今注目を浴びる4桁ロレックスの「次」、5桁リファレンスのスポーツロレックスです。何が良いのかと言いますと、今では使用されていない夜光やデザインの特徴などが、現行のピカピカロレックスとは異なり「枯れていて無骨」と4桁スポーツロレックスに通ずるアンティーク感を楽しめる点にあります。更には1番のメリットは日本ロレックスで「修理対応可能」なモデルばかりですので、使っていても安心なのです。
①セミビンテージの特徴
インデックスや針、回転ベゼル夜光マーカーに「トリチウム」が使用されていること。ケースとブレスレットを留めるラグの横に「穴」が空いていること、またフラッシュフィット部がブレスレットと分離すること。中にはバックルにダブルフリップの無い「シングルバックル」なものもあります。
トリチウム夜光は発がん性の物質を使用していることからダイヤルに「T」の記載があり注意喚起しておりましたが、1990年代後半には使用を全面的に禁止されロレックスもスーパールミノヴァ夜光に変更しました。トリチウム夜光の特徴として「変色」することが挙げられ、キレイにクリーム色になったものは評価も高くなります。
ラグサイドの穴に関しては、現在人気の「ストラップ交換」がしやすいため重宝されますが、好きじゃない方も多くいるでしょう。
シングルバックルは1990年代前半までのデイトナ、エクスプーローラー、エクスプローラーⅡ、GMTマスター、GMTマスターⅡに見られる仕様です。手首に圧が掛かると簡単に外れてしまうので、実用性的にはマイナスですが、見た目で好きな方がけっこういます。
②セミヴィンテージロレックスの評価
1990年代は4桁ロレックスの評価はさほど高くなく、2000年代の半ば後半くらいから徐々に注目を浴びるようになってきました。やはり口火を切ったのは4桁のデイトナと、エクスプローラー1016ですね。現行モデルが人気があれば、おのずと古いモデルも高騰していきます。2000年頃までは100万円を超える4桁モデルはデイトナ、ミルガウス1019、エクスプローラーⅡの1655くらいだったでしょうか。1016のR/Lシリアルも100万円近かったかも知れません。今人気のシードゥエラーダブルレッド1665や、クロノメーターノーデイト5512なども50万円から100万円の間で購入可能でしたし、5513フチなしにいたっては20万円ほどから見つけられました。
2007年頃にはピークを迎えましたが、翌年のリーマンショックで半値から+7割程度まで相場が落ち込みました。デイトナ6263、6265も400万円ほどまで上がった相場が250万円まで落ち、今思うと「あの時買っておけば」なんて事も。しかし2000年頃には6265、6263も100万円代でしたので、リーマンショックの影響を受けたVRたちはそれでも充分高くなってはいましたが、世界経済の復調と共に相場は上がり続け2018年の相場を見るとひっくり返りそうになります。
この様にVRの評価が高まり、もはや「手が出せない」くらいの相場になってしまいました。20万円で売っていた5513が100万円になってしまったんですよ。200万円で売っていたデイトナが1000万円になってしまうなら、2~3本親にお金借りてでも買っておけばよかったよ(笑)そんな状況です。更には良い状態のものも少ないので、ロレックスファンが次に目を付けたのは5桁の初期スポーツモデル「セミヴィンテージ・ロレックス」と言うわけです。4桁同様に1990年代なら普通に買えたことを思えば、2018年の今「普通にまだ買える」セミヴィンテージが、いつか「手が出せない」くらいまで高騰するかもしれないのです。今、買っておかないと後々後悔してしまうかも知れませんよ!と、言うことがロレックスファンの中にじわじわキている「妄想」なのですね。何の確約もありませんから、そう思う人だけが買っておけば良いのですが、世界中にこの妄想が浸透しており全体的に値上がりムードになっています。今、50万円60万円で買える初期型の5桁スポーツも、いづれ100万円の壁を突破してしまうかも知れないのです。そういった中で人気なのは14270エクスプローラー、16570エクスプローラーⅡのシングル+トリチウムです。まだ「安く」買うことができますので、今後が楽しみなモデルと言えますね。もう、高くなってしまっているのは16710GMTマスターⅡ、16700GMTマスターのシングル+トリチウム、そしてもう手が出ない16520デイトナのシングル+トリチウム。皆さんも今のうち、いかがでしょうか?