THE ULTIMATE CHRONOGRAPH THE COSMOGRAPH DAYTONA
キングofクロノグラフとして「腕時計業界」で最も人気のあるクロノグラフがロレックスの「コスモグラフ デイトナ」です。
誰もが憧れているモデルであり、多くの著名人も着用していますね。
たかが腕時計と侮るなかれ、手に取れば時計に詳しくなくてもその良さを感じることができるでしょう。
一度手にしてしまえば、他のメーカーのクロノグラフでは満足できなくなるはずです。
ムーブメントの精度が世界一でもなく、使いやすさが世界一でもなく、クロノグラフの歴史で何か飛びぬけた偉業を残したわけではありませんが、それでも「世界一」皆が欲しがるクロノグラフなのです。
このページでは「デイトナ」について深く掘り起こしてみようと思います。
まずはデイトナの歴史から見ていきましょう。
ロレックス コスモグラフ・デイトナの歴史
1963年
ロレックスの新世代クロノグラフ「コスモグラフ」が誕生。
デイトナビーチで行われるレース(後のデイトナ 24時間耐久レース)から「デイトナ」の名称を冠するようになりました。
バルジュー製キャリバー72を改良したCal72Bを搭載した手巻きムーブメント。
Ref6239 Ref6241 第1世代
6239はSSベゼル、6241はベークライトベゼル(プラベゼル)
宇宙開発が盛んだった時代ですので 「コスモ(宇宙)」 の名を取りましたがNASAに選ばれたのはオメガでした。
しかたが無いのでデイトナサーキットから名を取り、カーレースのイメージに切り替えていったのかも知れません。
プレデイトナでは文字盤にあったタキメーターはベゼルに移り、表記も200(Km)となりカーレースを睨んでいたのかも知れません。
ムーブメントはRef6238と同じCal72Bと、改良版のCal722-1が搭載されています。
まだ防水性は乏しく「オイスター」の表記はありません。
バリエーションの多いモデルで「DAYTONA」表記の有無や配置の差異があります。
また、このモデルから「エキゾチック(ポールニューマン)ダイヤル」が登場しています。
ブラウンアイや金無垢(当時は14金)モデルなどレアモデルも存在しております。
<SPEC DATA>
REF.6239/REF.6241 – 37mm、手巻きキャリバーCal.72B/Cal.722-1、18,000振動、3気圧防水
Ref6262 Ref6264 第2世代
1960年代後半にリリースされたセカンドモデルのデイトナ。
傑作ムーブメントの名機Cal.727が搭載されたことでリファレンスが変更になっていますが、外観上の差異はファーストモデルと然程ありません。
精度を上げるため18000から21600振動に上がりました。
このCal727は自動巻きデイトナRef16520が登場するまでの間、ずっと使い続けられているため手巻きクロノグラフムーブメントの完成形と言われています。
但しセカンドモデルは短命でした。
ムーブメントは完成形でもケースが非防水。「オイスター」と呼べるケースの開発が急務でした。
どちらも金無垢(18金)の画像をチョイスしていますが、金無垢のデイトナは個体数が少ないレアモデルです。
<SPEC DATA>
REF.6262/REF.6264 – 37mm、手巻きキャリバーCal.727、21,600振動、3気圧防水
Ref6240 第1.5~2.5世代
Ref6240は謎に満ちたデイトナです。
60年代にセカンドデイトナの裏でこっそり「OYSTER」の名を使用してスクリュー式の防水プッシャーを搭載しているのです。
ロレックスの顔でもある「オイスター」を採用しようとした実験機と言われています。
因みに搭載されたムーブメントはCal72BやCal722-1とファースト・デイトナと同じですので、かなり早い段階で「防水」について試行錯誤していたことがわかりますね。
<SPEC DATA>
REF.6240 – 37mm、手巻きキャリバーCal.72B/Cal.722-1、18,000振動、5気圧防水
Ref6263 Ref6265 第3世代
1970年頃に登場したサードモデルのデイトナ。
オイスター(防水)を名乗れる新システム「スクリューロック・プッシャー」が完成しています。
実に18年もの長い間、同じリファレンスで製造され続けます。
オイスターケース+ねじ込み式プッシャーで50メートル防水を実現。
後期モデルではトリプロックに変更になり100メートル防水まで進化します。
巻きブレスレットに続き、現行でも採用されるネジ止め式のブレスレットも登場。
ヴィンテージロレックスでも普段使いできる仕様になっていますので、手巻きデイトナの中では人気もダントツです。
ROLEX
OYSTER
COSMOGRAPH
の3段表記。
プッシャーも進化して、初期はスクリューの溝が無いのですが、後期は溝があります。
また一部タキメーターの表記が300のモデルもあるようです。
DAYTONAの文字が赤く塗られスポーティー感が上がっていますね。
先日、デイトナ史上最高額の3,722,000スイスフラン(日本円で約422,995,200円)で落札されたBAO DAIのレモンイエローデイトナ。
6263がベークライトベゼル、6265が金属ベゼルです。
世界初の防水性のあるクロノグラフと言われていますが、どうなんでしょう。
また、フェラーリ・レッドと呼ばれる珍しい赤いエキゾチックダイヤルのデイトナ、通称「赤ポール」もこのサードモデルに存在します。
一説には中南米向けのダイヤルと言われています。
<SPEC DATA>
REF.6263/REF.6265 – 37mm、手巻きキャリバーCal.727、21,600振動、5~10気圧防水
Ref16520 第4世代
1988年に登場したロレックス初の自動巻きクロノグラフムーブメントCal.4030を積んだデイトナ Ref16520です。
ゼニス社のエルプリメロをベースに製作されていて、ハイビート36,000振動から28,800振動に落とし耐久性を上げています。
型番は新世代の5桁仕様。
40mmに大型化しサファイアクリスタルを搭載。強さと美しさが増しロレックスを代表するアイコンモデルとなりました。
2000年までの約12年間製造されました。
一部のマニアックな差異でファンたちから支持を受けプレミアム価格になっているモノをピックアップしました。
①タキ200 (タキ225)・・・通常のベゼル刻印は「400」なのですが初期に一部200/225の物が存在します。
②段落ち・・・王冠の下に5段の表記がありますが、最後の「COSMOGRAPH」が離れている。
③逆6・・・12時間(積算)計の6のメモリが内側に向かっているため「9」に見える。
④エナメルダイヤル・・・白文字盤の初期にエナメル調のツヤありなタイプがある。
⑤ブラウン・アイ・・・パトリッツィとも言われる、黒文字盤のインダイヤルや茶色に変色しているもの。
⑥4段・・・通常5段記載だが「OFFICIALLY CERTIFIED」の記載がないもの。
⑦P番A番・・・最終品番と最終品番の1つ前のモデル。
第5世代からコンビネーション(ロレゾール)がリリース。
高級過ぎず、スティールと差がある選択肢として人気がありますが、プライス面ではスティールより安く買えると言う逆転現象が起きています。
またホワイトゴールドや文字盤にダイヤモンドがセットされたり、レザーストラップ仕様があったりと高級路線でバリエーションが増えました。
<SPEC DATA>
REF.16520 – 40mm、自動巻きキャリバーCal.4030、28,800振動、10気圧防水
R 1987-88
L 1989-1990
E 1990-91
X 1991
N 1991
C 1992
S 1993
W 1994-95
T 1996-97
U 1997-98
A 1998-99
P 2000
Ref116520 第5世代
2000年に念願の「完全自社製クロノグラフムーブメントCal4130]を搭載した第5世代のデイトナ Ref116520が誕生します。
いち早くリファレンスも6桁になります。
ケース径は変わらず40mmですが肉厚になり、仕上げも鏡面を取り入れ「高級感」が増しています。
また、インダイヤルの配置が変わりインデックスの太さなども変更されイメージが変わりました。
Ref16520と比べると「高級感」が前面に押し出されています。
新型キャリバーはゼニスベースのCal4030に比べパーツ数も少なくメンテナンス性に長けています。
6桁デイトナからは高級路線が更に加速します。
ホワイトゴールド無垢、エバーローズゴールド無垢(ピンクゴールド)がリリースされ人気を博します。
2000年の新型キャリバー(6桁デイトナ)記念としてデイトナ・ビーチが登場!
ピンク・ライトブルー・グリーン・イエローのジェムダイヤルがホワイトゴールドのデイトナに搭載されました。
当時、絶頂期だった浜崎あゆみさんがデイトナビーチを各色着けていたのを想い出します。
そして新時代の幕開けである「セラクロムベゼル」搭載モデルが誕生。
デイトナ生誕50周年の2013年には遂にプラチナ+セラクロムベゼル+アイスブルーの特別なデイトナがラインナップに加わりました。
木村拓哉さんが愛用されています。
こんなラグジュアリーなデイトナまで誕生。
もはやスポーツウォッチではありませんね。
<SPEC DATA>
REF.116520 – 40mm、自動巻きキャリバーCal.4130、28,800振動、10気圧防水
Ref116500LN 第6世代(5.5世代?)
2016年に遂にスティール・デイトナにもセラクロムベゼルが搭載されました。
ベゼルのキズから解放されることが、こんなにも生活面で大きいとは!とユーザーは皆喜んでいます。
更にはデザイン面でも締まって見えることも人気の秘訣です。手巻きデイトナを彷彿させますね。
2017年には金無垢のデイトナにセラクロムベゼルとオイスターフレックスブレスレットが装着されラグジュアリースポーツを体現したモデルがリリースされています。
華々しくデビューした新型のデイトナにはCal.4130が変わらず搭載されていました。
今後どのタイミングで新型キャリバーが誕生するのかに注目が集まっています。
デイトナの人気
雑誌などの資料を見るとデイトナの人気が確立したのは80年代となります。
第3世代のデイトナ Ref.6263 Ref.6265がイタリアを中心に人気を得ていきます。
それまでもポールニューマン氏がファーストモデルのエキゾチックダイヤルを着用していたりと「ロレックス」の「クロノグラフ」という事である程度の地位はありましたが、1969年にはセイコー、ゼニス、ブライトリング・ホイヤー・ハミルトンなどから「自動巻きクロノグラフ」がリリースされており未だに手巻きムーブメントのクロノグラフと技術的に少し遅れを取っていたことは否めません。
ムーブメントの開発には非常に多額のコストと時間が掛かりますので、ロレックスは先に頑丈堅牢なデイトナ用オイスターケースの開発に注力していくことになりました。
人気が爆発したのは、1988年の生産終了になったことが引き金になります。
世界中の手巻きデイトナを買い漁ったのは、他でもない「バブル期」の日本人と人気の震源地イタリア人でした。
「1989年5月(当時のドル円為替約132円)ロサンゼルスで手巻きデイトナが2600~3800ドル」
と1991年の雑誌に掲載されています。
80年代の手巻きデイトナの日本定価は、30万円台後半でしたので定価以下で買えたんですね。
1988年には初の自動巻きデイトナがリリースされました。
ゼニス社のエルプリメロをリチューンしデイトナ仕様にしたCal.4030を搭載します。
40mmにサイズアップしたケースは、それまでの華奢な印象は無く高級感ある次世代のクロノグラフとなりました。
定価は50万円。
2000年までの12年間製造されますが、様々な微妙なマイナーチェンジが施されデイトナファンたちの間で盛り上がっております。
中でもこの画像の様に初期型白文字盤には「ポーセリン」「段落ち」「タキ200」「逆さ6」などのバリエーションがあります。
また90年代中期頃の黒文字盤には「パトリッツィ(ブラウンアイ)」と言うレアダイヤルが存在します。
他にも「P番」「A番」「トリチウム」「タキ225」などありますが、皆さん覚えられますか?
最終シリアルはPの3番となります。
■1990年
1990年頃の手巻きデイトナの価格です。
信じられないくらい安いですね。
関係無いですが赤サブが35万円で売ってました。
1990年にはジャックロードも3年目を迎え、ますます勢いを増しています。
この頃の店長は「かめ吉」の西口さんだったようです。
■1995年
1995年の手巻きデイトナ相場。
1990年には150円だった円ドルの為替が1995年には90円を割り、じりじり値上がっていた中古ロレックスもまた落ちました。
■1998年
為替も円安に向かいだし、再び上昇しだす手巻きデイトナ。
私が初めて腕時計(ロレックス)を買った年です、この時に手巻きのデイトナ買うチャンスがあればな・・・
■2000年~
2000年、遂に悲願の「完全自社製クロノグラフ」キャリバー4130を搭載した新型デイトナ116520の誕生です!
REF.116520は2016年までの16年間「コスモデグラフ デイトナ」を「キングオブクロノグラフ」に押し上げたロレックスを代表するモデルです。
「耐久性」「メンテナンス性」に優れ、誕生以来ずっとプレミアム価格で推移した文句のない素晴らしいモデルでした(2010年には一時的に定価以下になった時期があります)。
新型デイトナのゴージャス感は武骨な5桁4桁のデイトナとは一線画し、これぞ新世代のデイトナ!と皆に称賛されました。
この頃の手巻きデイトナと言えば相変わらず・・・為替も110円以下を推移しなかなか盛り上がっていませんね。
とは言え、雑誌にこれだけ掲載されていますので人気はありました。
でも同じ金額を支払うなら4桁より6桁を買う風潮だった2000年前期。
「リーマンショック」が起きる2008年までは、それでも徐々に徐々に高騰しREF.6263の黒文字盤などは400万円オーバーとなりました。
この頃で16520黒P番が300万円にわずかに届かない感じまで高騰していましたね。
今では保証書無しでも500万円オーバーの6263・・・買っておけば良かった。
「デイトナ投資」って言葉もありますので基本「買って損なし」だったんです。当時の私にはわかりませんでしたけど。
そして2016年、待望の「セラクロムベゼル」がスティールデイトナに搭載されました。
長年の悩み「ベゼルのキズ」が解消され、見た目も引き締まりデザイン性が向上、現在も世界中が熱狂しています。
更には「黒文字盤」より「白文字盤」の方が相場が高いという逆転現象が起きています。
2017年10月にはポールニューマン氏が実際に愛用していたデイトナREF.6239「ポールニューマン文字盤」がオークションに初めて登場します。
次は1990年からの”スティールデイトナ”の定価推移です