The energy of the defusion brand
アンティークウォッチ市場でも人気のあるビンテージ・チュードル。ロレックスのDNAを引き継ぎながらチュードル独自のデザインが融合したスポーツモデルはとても魅力的です。
ビンテージ チュードルの魅力
■サブマリーナー の歴史
1954年 チュードル サブマリーナ 誕生
チュードルの初代サブマリーナ Ref.7922 です。パーツはロレックスのものを使用しています。
100メートル防水は1953年に誕生したロレックスのサブマリーナと同スペックですね。
まだクラウンガードもありません。ベゼルも両方向へ回転してしまいます。
薔薇ロゴ、ベンツ針、ロリポップ秒針と、良い雰囲気です。見た目は ほぼロレックスですね。
自動巻きの証「PRINCE」と「ROTOR SELF-WINDING」の記載があります。
こちら1953年のファーストモデル改良版(1954年)のロレックス・サブマリーナ1st。100m防水、クラウンガードなしなど似通っているのがわかります。
チュードルの初代サブマリーナにはETA社の自動巻きムーブメントCal390が搭載されました。TUDORは独自の製造ラインとしてロレックスのパーツを流用し、開発費を抑え既製品のETA社ムーブメントをリファインし製品にしていきました。
※ムーブメントの開発は費用が膨大なこと、技術的に困難な問題が多いことが、後のデイトナでも明確になりますね。
1955年 誕生した手巻きのサブマリーナー Ref.7923です。
ロレックスの1stサブマリーナー(最初期)に酷似しています。
ベンツ針ではなくストレートのペンシルハンド、目盛のない回転ベゼルなど流用しているのでしょう。
防水性表記ではなく耐衝撃「SHOCK-RESISTING」の表記があります。
また手巻きなのでケースの厚みが抑えられているようです。
※防水性は100mと7922と同じです。
ETA社の手巻きムーブメントcal.1182を搭載しています。
1957年にはアワーマーカーの付いたベゼルに変更になり、ムーブメントもETA Cal390を搭載します。
Ref.7922の後継機として進化しました(ベゼルだけかな・・・?)。
1958年 3rdモデルのサブマリーナは別名「ビッグクラウン」Ref.7924。
リューズの直径が8mmと大きく防水性に貢献、またグローブをしたダイバーにも操作しやすくなりました。
大きく弧を描くドーム型の風防は水圧に耐え、防水200mを可能にしました。
かなり進化しました。倍ですよ倍!
防水が200mになったのはTUDORの方が早いと思っていましたがロレックスもRef6538(1958年)ビッグクラウンを採用し達成していました。
考えれば当たり前ですね・・・ロレックスのパーツを使っているのですから。
また同年 誕生のRef.7925は100m防水でビッグクラウンを採用、ベゼルにレッドポイントなどの特徴が見られます。
ロレックスのビッグクラウンRef.6538(1958年)。
外観では文字盤以外の違いがわからないほど似ています。
※素材などが変わっているようですね。
1959年 4thモデルのサブマリーナ Ref.7928 にはクラウンガードが搭載されます。
スクエア・クラウンガードと呼ばれ、ガードの先が平たくなっていますね。
ベゼルのギザギザも大きくなり、より操作しやすくなっています。
Ref.7924と同様にCal.390を採用しています。
ロレックスの5512にもスクエア・クラウンガードが見受けられます。
1959年誕生とされているRef.5512と同時期ですね。
1961年 マイナーチェンジしたサブマリーナRef7928。
リューズガードの先が尖りました(先に向け細く丸くなり、先が尖って見えます)。
こちらはロレックスのRef.5512。同じくポインテッドクラウンガード(P C G)別称「尖がりリューズガード」。
※見やすくなりましたがゴールドの方がビンテージ感があって良いですね。
1964年 更に変更しリューズガードに丸みが帯びます。このデザインは90年代まで踏襲されます。
1967年 Ref.7928の完成形です。文字盤のサークルが消え、シルバーからホワイトにプリントカラーが変わります。
1964年 アメリカ海軍(US NAVY)が支給したチュードル・サブマリーナRef.7928。尖がりリューズガードにホワイトプリント、文字盤のサークルなし、Cal.390ですね。
ケースバックには海軍支給品の刻印があります。
第2世代 1969年-
薔薇から盾にロゴデザインが変更しています。Ref.7016はノンデイト、Ref.7021はデイト表示付モデルとなります。
キャリバーもそれぞれETA Cal2843とデイトディスク付き ETA Cal.2484に変更されています。
1977年 MARINE NATIONALEに納品されたサブマリーナ。ハック機能が付いたETA Cal.2776を搭載し型番がRef.9401に変更されます。
ブルーカラーが採用され、エクステンション・ブレスレット+フリップロックなどもスペック向上されています。
レアモデル「レフトハンド」
Ref.94010の左リューズモデル。フランス海軍の「左利き」教官用ダイバーズウォッチとして特注されたサブマリーナ。
1982年 サブマリーナ Ref.94010は引き続きフランス海軍に納品されます。基本スペックはそのままに、三角マーカーにベンツ針を採用しデザインが変わりました。
フランス海軍に納品される腕時計にはブレスレットは付きません。
※ミッション中に外れないようバネ棒が固定されファブリック・ストラップで腕に巻き付けます。
ETA Cal.2824-2を搭載するRef.79090。39mmの通常サイズで、ムーブメントのスペックアップが見られます。
1989年に誕生したモデルで、リューズやバックルなどTUDORの刻印のパーツになっています。
またインデックスにメタルの縁取りが付き、モダンな印象を受けます。
※メタルカラーのベゼル以外に黒ベゼル、青ベゼルも継続しています。1997年 チュードル・サブマリーナの歴史に幕が下ろされました。
1970年 チュードル・クロノグラフ 誕生
第1世代 オイスターデイト・クロノグラフ
1970年 チュードル初ののクロノグラフ「オイスターデイト」Ref.7031/0が誕生します。
バルジュー製手巻きクロノグラフCal.7734を搭載しています。
ねじ込み式のプッシュボタンを採用し50m防水を誇っています。
※ロレックスのデイトナの技術を1stから取り入れていますね。
インデックスの形状から「ホームベース」と呼ばれています。
ベゼルのタイプで3種類の型番バリエーションがあります。
タキメーターのプラベゼル、ステンレスベゼルと回転式ベゼルの3種類です。
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タキメーターの数字も時速500kmとモータースポーツにしては速いですねぇ。
ベークライトは「1」、ステンレスは「2」、回転式は「3」です。
第2世代 オイスターデイト「モンテカルロ」
1971年には2ndバージョンに早々に変更されます。バルジュー製手巻きクロノグラフCal.234が採用され文字盤のデザインはよりレーシーになっています。モナコ市モンテカルロの地名が愛称になりました。(カジノのルーレットのようなデザイン)
オイスターデイト・クロノグラフの特徴の1つに「ブルーカラー」がありますね。さわやか!1st同様にベゼルでの差異でリファレンスも変わっています。
第3世代 オイスターデイト・クロノグラフ「ビッグブロック」
1976年 オイスターデイト3rdは初の自動巻きクロノグラフになります。バルジュー製キャリバー7750(ETA)を搭載し、インダイヤルの配置が変更されます。
親会社のロレックスは1988年まで自動巻きのデイトナが発表されませんので、だいぶ先行してチュードルは自動巻きモデルを投入していますね。
他の多くのメーカーが利用したバルジュー7750は2000年まで様々なモデルの心臓部を担うことになります。
3rdモデルのエキゾチックダイヤル。
こちらもカジノのルーレットをイメージしているようです。このダイヤルからクロノタイムの記載がはいりますので、2カウンターはクロノグラフ、3カウンターはクロノタイムと分けても良いかも知れません。
このモデルが1番カッコイイと個人的に思っています。惚れ惚れしますね。
回転ベゼルは9421/0、ステンベゼルは9430/0、プラベゼルは9420/0。今までとちょっと違う感じですね。
第4世代 オイスターデイト・クロノグラフ・ビッグブロック・クロノタイム
リファレンスが5桁の79***品番になりました。3rd同様にバルジュー7750を搭載し、ビッグブロックと呼ばれる「かまぼこケース」を採用しています。変更点はあまり見受けられませんね。
160はプラベゼル、170は回転ベゼル、180がステンレスベゼルです。ビッグブロックと言われるだけあって「ぶ厚い」ですねぇ。
第5世代 オイスターデイト・クロノグラフ・クロノタイム
都合上 第5世代としておきます。
※TUDOR的にビッグブロックは型番変更だけで同じ世代とされています。(Ref.94++/0→Ref.761++)リファレンスが762++に変更になりケースもスリム化します。
曲線的なラインは賛否両論ですが、モダンな印象です。
徐々にチュードルマークのリューズやブレスレットなどのパーツに変更しロレックス色を薄めていきました。
2000年にはTUDOR独自の生産ラインを持ち新シリーズへと進んでいきます。
オイスターデイト→プリンスデイトに変更です。「あれ?」と何か気づかれましたか?そうです。
1998年からコラボレートしている「タイガー」こと
プロ・ゴルファーの「タイガー・ウッズ」の名が刻まれた文字盤なのです。
通称:クロノタイム・タイガー。
約4年間製造されていました。カラフルなダイヤルバリエーションで人気のあるモデルでした。
他にもレンジャーなど魅力的なモデルがありますね。
ロレックスの廉価版として1930年代にイギリスで展開されたのがチュードル(TUDOR)です。
イギリス市場をターゲットとしたため、英国人に馴染みのあるチューダー家からブランド名を取り、ロゴにチューダー・ローズ(盾とバラの家紋)を使用しました。
コストをカットするためにロレックスのパーツを流用し、ETA社のムーブメントを搭載して組み立てているモデルが多いのが特徴です。
この辺のプランは実業家だったハンス・ウィルスドルフ(ロレックスの創業者)の手腕が見受けられます。
ロレックスにも劣らないチュードルの腕時計に迫ります。
対決1. 対デイトナ!「クロノタイム」
1970年に登場する2つ目クロノグラフ。
オイスターケースにロレックスリューズ、バルジュー製の手巻きムーブメントを搭載、文字盤は奇抜です。
「モンテ・カルロ」と呼ばれ人気があります。
※モナコ公国のモンテカルロ市のカジノやカーレースから取られた名称でしょう。
ロレックスでは1964年(1963年)に初代デイトナが誕生しました。
画像の特徴ある文字盤は「ポール・ニューマン」と呼ばれるエキゾチック・ダイヤルを搭載したレアモデルです。
80年代に入り、バルジュー7750を搭載する自動巻きクロノグラフ「クロノタイム」が登場します。
デイト表示もあって便利ですね。
60年代モデル同様にオイスターケース、ロレックスのリューズが使われています。
ベゼルは一般的にプラベゼルと呼ばれる「ベークライト(フェノール樹脂)」とステンレスのモデルがあります。
当時(70~80年代)はバルジュー製手巻きクロノグラフ・ムーブメント名作Cal.727が長く使われていました。
ねじ込み式のプッシャーに変わり防水性が上がっています(50m防水)。デザインが非常に近づきましたね・・・。
Ref.79160/79170/79180が発売されました。
※下2桁の番号がベゼルバリーエション・ナンバーです。
「6」はプラベゼル「7」は回転ベゼル「8」はステンレスここまでのオイスターケースは厚みがあり「カマボコ」「BigBlock」などと呼ばれています。
リューズもロレックスのパーツを流用していて、防水も100メートルと機能充分なモデルです。以降「盾」リューズなどオリジナルパーツのクロノタイムRef792**が誕生し、Ref792**Pで生産終了となりました。
※ゼニス社の名機エル・プリメロをベースにしたCal4030が搭載されています。ベゼルはステンレスのみとなり、手巻きのデイトナのプラステックベゼルモデルが急騰しました。
ヴィンテージロレックス(VR)に比べれば、だいぶ買いやすい価格のヴィンテージチュードル(VT)。
ですが、日本国内では正規販売されていないため数が少ないので
希少価値(探す努力と出合えるタイミングの価値)は海外より高いかも知れません。
ZENMAI的おすすめクロノタイム
ZENMAI的には2つ目のクロノグラフより、こちらの方が好みです。黒・グレー・ブルーの縦目モンテカルロがありますが、やはり黒。
ステン・回転・プラとベゼルは選べますが、ZENMAIはステン。
こちらです。
対決2.対サブマリーナー!「チュードル・サブマリーナー」
後を追うようにチュードルでも展開していきます。
(1953年に それぞれ1stモデルをリリースしています)Ref.7928。
第1世代のサブマリーナではRef7928のMarkIIIで完成をみます。
通称「バラサブ」です。
Ref.5508かRef.5512でしょうか。
まだ100メートル防水のRef5508(Ref5512は200m防水です)。
リューズガードもありませんね。
※TUDORオリジナルはファンを選びます。マークも「バラ」から「盾」に変更されています。スクエアのインデックスに、針も奇抜。
通称「イカサブ」、海外では「snowflake」。ノンデイトモデルはフランス海軍にも納入するモデルになりました。デイトあり(Ref.7928)(Ref 9411/0)とデイトなし(Ref.9401/0)があります。またベゼルとダイヤルのカラーがブルーとブラックの2色展開があり、
カレンダーディスクは「黒」と「黒/赤」のバリエーションがあるようです。ZENMAIは9411/0を過去に所有していましたがカレンダーが2色でした。
Submariner Ref. 94010
相当かっこいいですよね?ロレックスより欲しいモデルです!
廉価版Ref.5513(デイトなし)、Ref.1680(デイトありクロノメーター)、
ハイスペックダイバーRef.1665シードゥエラーと複数展開していきます。チュードルの仏軍に対し、ロレックスは英軍に支給することになります。
「Tマーク」と呼ばれ高い人気を誇ります。チュードルはイギリス市場向けに作られましたが、英国はロレックスを選んだのですね。
80~90年代になると再びデザインをロレックスに寄せてきます。ロレックスのリューズとオイスターケースを使う最後のモデルです。
ムーブメントは変わらずETA社製。
レディースモデルなどもありました。
この後ダイバーウォッチはTUDORオリジナルダイバー・ハイドロノートになります。
ZENMAI的おすすめサブマリーナー
更にカッコいいノンデイト(ドーム風防)をオススメしたいのですが・・・ちょっと変わった80年代のTUDORサブマリーナーをご紹介!
通称「タコサブ」、海外では「Lollipop」。
通常「ベンツ針」と呼ばれる短針に三ツ矢模様がありません。
またフチなしインデックスも同様に白い丸から「タコの吸盤」を連想し「タコサブ」と呼ばれています。
対決3.対エクスプローラーI!「レンジャー」
※プリンスはロレックスのパーペチュアルと同意で「自動巻きモデル」のことです。ロレックスは冒険者用に耐久性・防水性・携帯性・夜光・視認性などが優れたモデルを開発します。
それが「エクスプローラーI」であり、同様にチュードルも「レンジャー」を発売します。最初のモデルは1950年代。
Ref.7995はバラロゴでかっこいい!。
同時期のロレックスはRef.6610かRef.1016のエクスプローラーIです。年代が近いと見間違えそうですね。
短針の好みで選んでも良いかも知れませんね。
ベースはプリンス・オイスターデイト。
Ref.7966。
70年代になると弧を描く「SELF-WINDING」の表記がなくなります。バラのロゴが「盾」に変わります。
インデックスの数字も何か強い感じがしますね。
「RANGER」表記のあるモデルは複数あるようです。
「ノンデイト」7992、7934、7995、7965、90330、90220
「デイトつき」7964、7966、7990、7996
また、赤サブの様に赤いペイントの「RANGER」も存在していますが本来の物か定かではありません。
ZENMAI的おすすめレンジャー
初代レンジャーをデザイン的には強くおすすめしたいのですが・・・今回はゴレンジャー好きにもマッチする「赤レンジャー」です。
塗ったの?塗ってないよね?
4.かっこいいから欲しいけど「ビンテージ」ってちょっと・・・
聞くとかっこいいけど取扱いや修理が面倒そうで諦めてる方も多いはずです。実際、日本ロレックスでの修理期間が終わってしまっているモデルばかりだし、現行の機種に比べ耐久性も落ちます。でも・・・かっこいいデザインだし欲しい!
そんなアナタ「朗報です!」よ。ヘリテージシリーズと言う「復刻モデル」があるのです。
Ref. 70330N ヘリテージ・クロノグラフ
初代の特徴のホームベース・インデックスがかっこいい。オリジナルと異なり今風に自動巻きで便利ですね。
また42mmケースで存在感がアップしています。
Ref. 79220B ヘリテージ・ブラックベイ
イカサブの針とバラサブの文字盤をミックスしたようなデザイン。200メートル防水も当時のサブマリーナーを意識しているのでしょうか。
41mmケースでとてもかっこいいです。
Ref. 79910 ヘリテージ・レンジャー
赤い秒針がモダンな印象です。41mmとやや大きめですが、シンプルで良いですね。
ZENMAI的には38mm程度のサイズで出してほしかったです。残念ながらヘリテージシリーズは現行品ですが、日本国内にはチュードルの正規店がありません。
※日本ロレックスは修理受付はしてくれますが、販売はしていません。
海外旅行や、時計ショップで輸入品を購入することで手に入ります。
レンジャーIIの復刻版と捉えられそうですので、一緒にご紹介。ベゼルがフルーテッドからステンレスとセラミックの混合タイプへと進化しています。
また9時位置のパワーリザーブもポイントですね!
わざわざパワーリザーブ表記をしたかったのは自社製クロノメータームーブメントを搭載し、パワーリザーブが70時間もありますよ!と
誇示したかったからに他なりません。
バーゼルワールド2016で凄いモデルが出た!
これは書き加えずにはいられません!ちょうどヘリテージのご紹介をしていた流れから・・・
見てください!
ダイヤルデザインも肝ってます。
2000年頃にはオリジナルモデルを展開していけるくらいの力を持てるようになり、独自の進化をしています。ロレックスのパーツを使用したモデルが人気があったり、突飛なデザインのモデルがあったりと、とても面白いブランドになっていますね。ロレックスのDNAは深く強く出ていますのでおすすめです。現行のヘリテージシリーズが使いやすく、また価格的にも安価で買い求めやすいコストバリューに優れたモデルがたくさんありますので要チェックです。
■チュードルの人気