ロレックス GMTマスターについて~魅惑の2トーンベゼル~

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KEEPING PACE WITH CHANGING TIMES THE GMT-MASTER II

GMTマスターの歴史

1954年 第1世代 ファーストモデル GMTマスター Ref.6542

ロレックス GMTマスターII ウォッチ - ロレックス スイス製高級時計 (12814)via www.rolex.com

1954年誕生のファースト・GMTマスター Ref.6542

「海」のサブマリーナー
「陸」のエクスプローラー
「空」のGMTマスターとして明確なコンセプトのもと開発されました。

因みに・・・今年の漢字じゃありませんが
「速」のデイトナ
「磁」のミルガウス
って感じでしょうかね?
さて、他モデルには無いGMTマスターの特徴をおさらいしましょう。
①24時間で1周回る「GMT針」(後にEX2で採用)
②24時間表示の両回転式ベゼル(1stモデルは2トーンのみでした)
この2点が一目でROLEXとわかるアイコンにもなるデザインになります。
24時間表示ベゼルとGMT針を操作することにより、
グリニッジ標準時で取り決められたタイムゾーンで起こる「時差」を簡単に見極められられます。

Greenwich Mean Time, GMTvia ja.thetimenow.com
「PAN AMerican(パンナムことパン アメリカン航空」のパイロットの支給品として開発されたとも言われているRef.6452。

ジェット機のパイロットにタイムゾーンを超えた時間表示が必要になったことが発端です。
また、パイロット言えばプロフェッショナルな職業であり、ロレックスを着けているというステイタス性もアピールポイントになったのでしょう。
ロレックスの広告宣伝は本当に上手ですね。

Novedad Rolex 1675 gmt-master i - Foro General (12817)via www.relojes-especiales.com

「バニラコーク」と呼ばれるファースト・GMTマスターの白文字盤タイプがあります。
翻訳が機械的でおかしいですが、一部の幹部用にホワイトダイヤル、パイロット用にブラックダイヤルが支給されたようです。

パンナム航空の幹部の数と、パイロットの数を考えますとやはり幹部の方が少ないでしょうし、一般販売(1957年頃から)されたブラック文字盤の数は多いでしょう。
まず見たことありませんが、相当レアであることに違いありません。
Ref.6542の特徴は「赤/青」の2トーンベゼルですが(後のモデルにも受け継がれます)
クラウンガードが無いケース、ベークライト(プラ)ベゼルと小さい△のGMT針が次世代機には無いディティール差異になります。
またサークル文字盤と呼ばれるインデックス外周を走る円が描かれています。プラベゼルは劣化や損傷が激しく、きれいなモノは希少性が高いですね。
Ref.6542の後期モデルはステンレス・ベゼルに進化していますが後継機のRef.1675のベゼルとは互換性がありません。

Welcome To RolexMagazine.com...Home Of Jake's Rolex World Magazine..Optimized for iPad and iPhone: GMT Master Vintage Ad from Tourneau... (12830)via rolexblog.blogspot.jp
1960年頃を想定しますと、日本人の会社員平均月給は4万円程度(現在の1/10程度)ですね。

SSのRef.6542が240アメリカドルとなっています。
240×360円(?)で計算すると86,400円・・・で10倍にすると86万円かぁ・・・高級品ですねぇ。

クラウンガードなし、GMT針が小三角形なのでRef.6542だと思いますが、
K18の金無垢ケース、モノトーンベゼル、アリゲーターバンドが売ってたんですね。
調べてみましょうか。

Ref.6542/8

Ref.6542/8 ありました!

ちょっとポスターと違いますが、茶壺タイプでありました。
小三角形、クラウンガードなしケース、ベークライトベゼル、つぶれ8・・・
ベンツ針でないのとインデックスがフジツボタイプなのがポスターとの差異ですが、まぁこのモデルですね。
現在の価値で2,160,000円かぁ・・・やっぱり高級品だ。
※600USDx360x10倍

金無垢のスポーツモデルもデイトナ同様に「高級路線」をターゲットにしています。
パイロット=お金持ち=ステイタスという事でしょう。

1960年 第2世代 セカンドモデル GMTマスター Ref.1675

Vintage Rolex GMT-Master Pi...via 4.bp.blogspot.com

1959.1960年誕生の第2世代 セカンドモデルのGMTマスター Ref.1675。

Ref.6542はCal.1030を使用していましたが、Ref.1675は専用ムーブメントCal.1565(1575)を採用します。
クラウンガードを搭載し、GMT針の三角形は大きく目立つようになります。
ステンレスのモデルには赤/青ベゼルと黒モノトーンベゼルの2種類が用意されます。

Novedad Rolex 1675 gmt-master i - Foro General (12838)via www.relojes-especiales.com

※初期型のRef.1675は小三角形、サークルダイヤルですね。
文字盤にもクロノメーター証明の記載がありますがRef.1675から「SUPERLATIVE」が追加になります。
Ref.1675はパンナム航空に正式採用されています。

確実に「空」のイメージ、「GMT」と言う単語を2か国の時刻を知るツールのイメージを定着させ
GMTマスターを腕時計としてではなく、エリートパイロットのアイテムとして昇華させました。
60年代後半から大三角形に変更。ブラックモノトーンベゼルが導入されます。
文字盤の外周サークルがなくなり、プリントもホワイトインクになっています。防水性のは1st 2ndともに50mです。
60年代後半から大三角形に変更。ブラックモノトーンベゼルが導入されます。
文字盤の外周サークルがなくなり、プリントもホワイトインクになっています。防水性のは1st 2ndともに50mです。

cornino GMT MASTER

イタリア「cornino」モンテ コーファノvia www.gdm-realestate.com

イタリア「cornino」モンテ コーファノ
コレクター人気は「cornino」と呼ばれるモデルです。
上記はコルニーノの名所「コーファノ山」ですが・・・何でしょう?クラウンガードのことですかね?

Vendo Rolex gmt 1675 corninovia orologi.forumfree.it
あぁ、似てますね。
山の形が片方のクラウンガードに似てます、似てます。
日本では「ヒラメケース」と呼ばれるクラウンガードの先が薄くなっているレア・モデルですね。覚えてください、コルニーノです。
下の広告はグリーンランドの極寒の地でも正確な時を刻むことが可能ですよ、GMTは凄いですよ!と謳っています。

Some Rolex Ads in National Geo - Have MANY... - Rolex Forums - Rolex Watch Forum (12829)via www.rolexforums.com
デンマーク海軍の兵士はグリーンランドの北極圏に「シリアス・スレッジ・パトロール」として配属されます。
過酷な地域での作業にもロレックスのGMTマスターなら大丈夫です!
GMTマスターより、サブマリーナーの方が良さそうですが、白夜で昼夜の感覚がわからなくならないように24時間針が活躍したのだと思います。

1980年 第3世代 サードモデル GMTマスター Ref.16750

The Rolex GMT in Transition (12854)via www.doubleredseadweller.com

1980.1981年誕生の第3世代 GMTマスター Ref.16750
デザインは 20年ちかく販売されていた長寿モデルRef.1675を継承しています。
すでにデザインは完成形でしたね。凄いことです。前作と針のセッティングに違いがあります。
Ref.1675は文字盤からGMT針>短針>長針>秒針でしたが、
Ref.16750では短針>GMT針>長針>秒針に変わります。
それはキャリバー1575からキャリバー3075への変更が行われたからですね。

Rolex 18k GMT Master - Ref....
Ref16750から倍の100m防水、カレンダーのクイックチェンジが搭載されました。
1988年頃まで製造されるGMTマスター Ref.16750

後期の文字盤にはメタルフレームがインデックスに付きます。
ベゼルの「8」の書体も上の○が正円にちかい感じになりますね。
「DATE」表記も追加されます。

ビンテージロレックス市場では「フチなし」インデックスタイプが人気です。
16750系にも高級路線のゴールド系が用意されています。

16753がロレゾール、16758がYG無垢モデルです。
ベゼルカラーも引き続きブラウン1トーン、ブラウン/ゴールド2トーン(aka 茶金)、ブラックのモノトーンの3種類です。
文字盤はブラウンとブラック、インデックスはフジツボです。

Maria Sjarapova

海外ではフジツボ・インデックスを「Nipple Indices」と呼びます。
アレですね。
えぇ・・・。

aka Sharapova GMT Master
シャラポワさんです。

1988年 第4世代 フォースモデル GMTマスター Ref.16700

1988.89年頃誕生の第4世代にして最終モデルの GMTマスター Ref.16700

デザインは変わらずRef.1675から受け継がれる赤/青ベゼル、黒モノトーンがスティールモデル。
ゴールド系はブラウンモノトーンベゼル、ブラウン/ゴールド、ブラックモノトーンの3種類です。
※因みにベゼルディスクはROLEXで交換可能でした。当時日本ではあまり人気のなかった赤/青をROLEXで黒モノトーンに変える方が多かったです(ちょっともったいない)。

キャリバー3175にスペックアップ、サファイアクリスタルを搭載しました。
99年まで製造されますが、96-97年頃にはずっと夜光に使用していたトリチウムを放棄しルミノーバに変更します。

3列オイスターと5列ジュビリー(ドレス)ブレスレットが選択できる高級路線は最後まで続きました。
日本では圧倒的に3列のオイスターブレスに人気が偏ります。
※シングルクラスプからダブルロッククラスプに90年代中盤に交換されます。
日本への正規輸入品では初めて「ブラック」ベゼルを選択できるようになったのは、このRef.16700からです。

GMTマスターIIとの明確な差を出すため、下位機種のGMTマスターI Ref.16700にはロレゾール(コンビ)と金無垢モデルが無くなり、GMTマスターIIへシフトチェンジしていく流れが見られますね。

1983年 第1世代 ファーストモデル GMTマスターII Ref.16760

1983年 新種モデル GMTマスターII Ref.16760 が誕生します。

短針独立稼動で第3か国めの時刻を表示可能という新機構を携えて華々しく登場しました!が
敢え無く5年で生産中止になってしまいました。
※GMTマスターIとIIの違いは2か国表示か3か国表示かの違いが1番大きいですね!

新キャリバー3085
早々にサファイアクリスタルを搭載
100m防水
GMTマスターIの上位機種としての地位を得て誕生したのがわかります。
※同時期のGMTマスターIはアクリル風防が採用されています。

ベゼルカラーは新色の赤/黒を採用します。
これは同時販売していたGMTマスター赤/青、黒モノトーンとの差別化でスティールモデルしか無いのも そのためです。
※本来 上位機種のGMTマスターIIに無垢・ロレゾールモデルが無いのはGMTマスターIの在庫があったためだと思われます。

Ref.16760はニックネーム「ファットレディ」「ビッグママ」「ソフィアローレン」などと呼ばれるケースの厚みがGMTマスターより厚くポテっとしたフォルムです。
Ref.16760には「赤/黒」ベゼルのモデルしかありません。

1990年 第4世代 セカンドモデル GMTマスターII Ref.16710

Ref. 16710 BLRO
1989.1990年誕生 第2世代のGMTマスターII Ref.16710

キャリバー3185(最終3186)にムーブメントを変更し、赤/青ベゼルも登場します。
※Ref.16700と赤/青ベゼルは2つのモデルで選べるようになりました。
また、2000年以降はGMTマスターIの生産終了から黒モノトーンベゼルも登場します。

Ref16710は17年もの長寿モデルになりましたが、微妙なマイナーチェンジが繰り返されロレックスコレクター達を喜ばせています。
Ref16710には、細かいディティールの違いがあります。
もし、所持していましたら確認してみて下さいね!90年代中盤以降 トリチウムからルミノーバに変更されます。
2000年頃にはフラッシュフィットが一体型に強化されます。
その数年後、サファイアクリスタルの6時位置に王冠マークがレーザー刻印され、「横穴」の無いケースが採用されます。
2007年頃に生産終了になりますが、最終モデルはキャリバー3186が搭載されています。
(※3186は後継機116710のムーブメントです。)
16713ロレゾール(コンビ)、16718ゴールド無垢モデルもあります。
ゴールド系に採用されていたフジツボインデックスはGMTマスターIIには見られません。

16718RGvia item.rakuten.co.jp
Ref.16710系は上位機種であるため、ジェムストーンを使ったモデルが誕生します。
ステイタス性がグッと上がりますね。
同時期、サブマリーナーにもサファイア/ダイヤモンドを使用したモデルが誕生しますね。
ラグジュアリーと言う言葉がまだ日本に無い頃のモデルで、当時はGMTマスター自体の不人気も相まって、けっこう安く売っていたのを覚えています。

2007年 第3世代 サードモデル GMTマスターII Ref.116710

2007年 6桁品番のGMTマスターII Ref.116710LNが誕生(黒モノトーン・セラクロムベゼル)
2013年 黒/青2トーンのセラクロムベゼル Ref.116710BLNRが追加されます。
GMTシリーズのベゼルがベークライト>ステンレス>セラクロム(セラミック)と進化し段々マッチョな時計になってきましたね。

11671*はバリエーションがシリーズ最多でホワイトゴールド無垢モデルやラグジュアリーなルビー/サファイアベゼルなど豪華なGMTマスターIIがどんどん発表されています。
2014年には悲願の2トーン赤/青セラクロム(加工が非常に困難だった)が登場しました・・・が、ホワイトゴールド無垢のモデルに搭載され一般人には手が届かないモデルでした。

Rolex GMT-Master II 40mm Ye...via eng.678.ru

今後のスティールモデルへの配給を待つしかありません(たぶん来年には搭載されるでしょう)。

Sylvester Stallone with Pep...via www.rolexforums.com
パネライ愛好家と知られるスタローン氏もWG無垢のGMT PEPSIをご愛用。
以前には金無垢サブマリーナーも着けられていますね。
氏は相当な腕時計好きです。

GMTマスター・ドリンクニックネーム

PEPSI

PEPSIvia www.rolexforums.com

ペプシ・コーラ・カラーの赤/青
COKE

COKEvia www.pinterest.com

コカコーラのイメージ 赤/黒ベゼル
Root Beer

Root Beervia watchesinmovies.info

ルートビア・カラーの茶/金ベゼル
Vanilla Coke

Vanilla Cokevia rolexblog.blogspot.jp

PEPSIにバニラアイスを入れたらこうなった
blueberry juice

blueberry juicevia www.hqmilton.com

ブルーベリー・ジュース
ESPRESSO

ESPRESSOvia www.watchcollectinglifestyle.com

エスプレッソ・コーヒー
GMTマスターのレア・ピース、レア・ディティールについて もう少し加筆していきますね。
2000年頃は生産終了したGMTマスターI Ref.16700のペプシなども20万円台で中古美品が買えました。
今では3倍くらいの値が付きますね。

だんだん人気が出たこと(海外では昔から人気がありましたが派手なものがNGだった日本では敬遠されていました)、新型の6桁GMTには赤/青ベゼルのスティールモデルが無いことなどが希少価値を高めています。

90年代に買った方はウハウハですね!

「空」のGMTマスター・シリーズは今後どのような展開をしていくのか楽しみです。


次のページはGMTマスターの人気に迫ります。

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